センチメンタルなリリックをいつもどこかから連れてきてくれるクリンペライ。部屋の中からぐんと抜け出した感のある’04年のアルバム。
昆虫を虫眼鏡でのぞいた時、その姿の精巧さに思わず目を見張ったような驚きとおもしろさが共存している。インチキっぽいエレキギターとおもちゃ楽器?民族楽器?それとも古いシンセだろうか?斬新さを恐れなかった
80年代パリコレクションなんかでかかっていてもおかしくない。そう、洗練と退廃、きれいなものとうつくしいものが混沌としているなかでの過去と未来を彷彿させる。クリンペライ式の希望とアイロニー、しずかなかなしみの存在を厭わずにそのままの姿を真正面からとらえたようなどっしりとした貫禄が感じられる。クラシカルな要素が存分に楽しめるということは、クリンペライの音楽が技術的にも質の高いものであることを証明しているのだと思う。古い絵本がいつまでもある種の新鮮さを失わないでいるように…。
PRIK-085
LE TCHAK / KLIMPEREI
ル チャック / クリンぺライ